赤い衣装とふたりと20周年

 

 今回のアリーナツアーで見たDanger zoneの話をする。つよしくんにMCを任せた光一さんがソロコーナーの準備を終えて出てきた時、一瞬で鳥肌が立った。これはすごいものを見てる、と思った。KinKi Kidsのステージで、あの赤い衣装を身に纏った光一さんとつよしくんが横に並んでいるんだから。

 

私には、あの赤い衣装を見るとフラッシュバックする光景がある。重そうな飾りがいっぱいついた赤いジャケット、雨と、味気ないビニール傘、タオルを頭に置いて雨を凌ぐ観客、そして『15周年なんだけど…』と書かれたフリップ。『えっ!?マジで!?』なことは何ですか、という質問に光一さんはKinKi Kidsもね、15周年なんですよ。でもなんにもやってないんですよね。今日もなんで一人なんだろう。」と答えた。4年前のHEY!HEY!HEY!。あれは生放送だった。絶対に編集が出来ない、そのままの声が電波に乗ることの意味を、あの人が知らないわけもなく。彼の口が「今日もなんで一人なんだろう」と動いた時、私はテレビの向こう側で愕然としてしまった。
私はろくにソロでの光一さんを知らない。だけど、彼のソロを待ちわびる人がいて、新譜初披露の生放送にドキドキワクワクしてる人がいて、当事者である彼も新しいクリエイションに時間を費やし、持てる全力を注ぎ、自分のエンターテイメントにプライドを持ってその場に立っていることくらい、重々分かっていた。だからこそびっくりしてしまったのだ。なんで今日も一人なんだろうって…………そりゃあんた……ソロの活動で出演してるからだよ……………

 

あの出来事は、「光一さんもファンと同じ気持ちでいてくれたんだね」とか「燻ってた感情が溢れ出した結果だよね」とか「第三者からの圧力への抵抗じゃないのか?」とか、きっといろんな風に語れただろう。たしかにそういう人たちも沢山いた。でも、なんか、私には全然わからなかった。光一さんはなんで生放送でソロの場であんなことを言ったんだろう。今でもわからない。全然わからないけど、あの夜はあの時の私たちにはあまりに優しすぎた。『15周年なんだけど…』と翌日更新されたlove fighter『ぼくも』のたった三文字を見て、頑是ない子供のように「キンキに会いたい」って泣いたことを覚えている。

 

 

いつも思う。「KinKi Kidsに会いたい」って言うとじゃあ堂本光一のソロは必要ないんだねとか、じゃあ堂本剛のソロは必要ないんだねって解釈にどうしても繋がってしまう事がある。私はそれがすごく嫌で、かなしい、腹立たしい。その逆も然りだ。「剛さんのライブに行きたい」「TU FUNK ALL STARSに会いたいな」って言うと、「じゃあキンキは?」ってなってしまう。違うんだよ、そういうことじゃないんだよ。あの時私はただ、KinKi Kidsに会いたかった。シンプルにただKinKi Kidsに会いたい。ただそれだけの気持ちに、他の感情なんて何も関係ない。関係なかった。多分、ふたりもそうだった。私もすごくすごく会いたいよ、みんなもキンキにすごく会いたいんだよ。ずっとずっと会いたいんだ。そう思って涙が出たこと、今でも忘れられない。

 

 

 

 

KinKi Kidsが20周年yearに突入するこの2016年、17年ぶりのアリーナツアー。あの日液晶越しに見た赤い衣装を着た光一が、目の前のステージで踊る。音に浸るようにギターを弾くつよしと、背中合わせになって気持ちよさそうに歌う光一がいる。「全国を回れてうれしい。ツアーはやっぱり楽しいね」って笑うふたりを見てると本当にしみじみと嬉しくて幸せでさ。ねぇ、今日も“2人”だね。

これからまだまだ続く20周年アニバーサリーの中で、ふたりが「もういいよ!」って照れ隠しのしかめっ面してクシャクシャに笑ってくれるくらい、沢山の『おめでとう』と『ありがとう』を言えたなら。それがきっと餞になるんだよ。